赤ちゃんだった我が子が、言葉をおぼえ、
たどたどしく歩くようになった頃から親として考えること…
それは、もちろん健康で大きくなってくれること。
そして大きくなった時に、ある程度の地位やお金があって、
豊かで幸せな生活ができるようになること…ではないでしょうか。
そのために子供の幼児期の教育、成長過程での学習環境を見据えて
「小学校受験」を視野に入れている方もいらっしゃると思います。
私は「お受験の先生」として、たくさんの子供たちや御両親様を見てきました。
みなさんが気になっていらっしゃると思われる
「小学校受験対策は何歳から始めるべき?」というご質問への回答や、
小学校受験を通して親と子供の絆が深まるコツ、
最終的に希望の進路への切符を手にできるコツを
おちいりやすい例を交えながらお話ししていきます。
Contents
親にとって小学校受験はいつから始まっているのか
親にとって小学校受験は、かなり早くから意識するべきです。
具体的には、親が子供に「○○を取って」と頼んだら
子供が「これ?これ?」と1つずつ手に取って
親が「それそれ!」と言うのを待っている…こんな状態の時期です。
つまり言葉を話し始めたらゆるやかに受験対策をしていくのです。
そしてそれは受験対策としてではなくて、
こどもとの普段の関わりの中にさりげなく組み込むことができるのです。
たとえば、毎日毎日、親が子供との会話する時に使う語彙を意識するのです。
いくつか例をあげます。
子どもに物を取らせる時、右左を教え込む
子「これ?これ?」
親「右のを取って。右だよ。違うよ、それは左。うん、そうそう右の、そっちが右だね」
お風呂で子供に数を数えさせる時、数え方を変える
子「いーち、にーい、さーん」
親「今日は違う言い方で数えよう。ひとつ、ふたつ、みっつ」
小学校受験に使われる言い回しに触れさせる
子「くつを脱いだよ、ピッタンした」
親「すごいね、くつを揃えたね」
子「お菓子は2個、ママも僕も、いっしょ!いっしょ!」
親「2個ずつだね」「同じ数だね」
日常的に親が意識して子供の語彙を増やさなければ、子供の語彙は増えません。
子供の言いたいことが何となくわかるから、何となく楽しい会話をしている…
それでは子供の耳に新しい語彙は入ってきません。
子供が言った言葉を、親は受験で使われる語彙に言い換えて、
子供に投げ返すのです。
長々と子供に語彙の意味を説明する必要はありません。
子供は聞いていませんから。
大好きなお母さんの言葉を毎日聞けば、
子供は勝手に新しい語彙を使うようになります。
こうした積み重ねが、いざ本格的に小学校受験の対策をするときに
本当に役立ちます。
子ども自身が小学校受験を意識するのは年長?
親が子供の知らない間に、地道に進めてきた小学校受験ですが、
年長くらいから子ども自身も意識し始めます。
子供ながらに1年生になったら…と夢や希望を持ち始めますし、
おじいちゃんおばあちゃんがランドセルを買おうか等と
ソワソワし始めるのを察知する子供もいます。
小学校によっては入試説明会に子供を連れて行っても良い学校もあり、
一緒に行くのもいいかもしれません。
ただし、
親子ともに説明会場で受験校の先生方に良い印象を与えられるのであれば、
です。
小学校の入試説明会は、前で説明をする先生以外に、
やたら座って同席しているだけの先生の人数が多いものです。
「もし、この親子が受験して来たら」という目で見ていることは明らかです。
悪目立ちするのは禁物です。
そのためにも、子供が年長になったら“ウチ”と“ソト”の区別が
できる状態でなければなりません。
方法はたくさんあります。
1~2か月に1度ほど高級ホテルでお茶をする、ミュージカルを見に行く、
お茶席に連れて行く…など。
子供にとってハチャメチャに楽しむ世界と、
嫌でも静かにしなければならない威圧的な世界を体感させればいいのです。
その時に家族みんなで行くのはお勧めしません。
自分たち家族のルールの中で許容されてしまうと意味がないからです。
出来る限り一人に近い状態で、
“ソト”での自分の振る舞いに向き合わせることが目的です。
子供がきちんとできた時は
「お兄ちゃんになったね、もう赤ちゃんじゃないね、かっこいいよ」
と言えばいいのです。
小学校受験の対策として塾で行う内容で十分?
小学校の受験対策として塾を考える親も多い時代です。
年齢は様々で、年少から通わせる方もいらっしゃいます。
私は「お受験先生」ではありますが、
小学校受験対策は塾だけで十分だとは思いません。
今までお伝えしてきたような親子関係を築き、
家庭での会話、声掛け、環境があれば、
塾で行うことは記述試験に向けての仕上げにしか過ぎないからです。
家庭での素地がなければ、塾での勉強ごときで何も積み上がりません。
塾で子供に面接練習を行っても、質問の意味が理解できない、
少ない語彙力、座っていられない、自分のことを伝えようとしない…
こんな状態では、その子のスタート時点は残念ながら、
かなり後ろの方ということになります。
やはり、家庭は偉大なのです。
とはいえ、集団で勉強する環境は大切です。
もっと言えば、我が子が集団で勉強する時に、
どんな状態かを親が把握する為に有効です。
「家ではできているんですが」「私の言ったことは上手にできます」では
単なる親の安心材料でしかありません。
そんな言葉で親が先生からのアドバイスをシャットアウトするのでは、
集団で勉強する意味がなくなってしまいます。
親が「我が子は問題ない」と思っていても、実に様々な子供がいるものです。
・先生を独り占めする子
・みんながいると恥ずかしくて「わかりません」が言えない子
・列に並ぶ時に、人を押しのけて1番を死守する子
・おせっかい過ぎて、求められていないのに他人に答えを言いまくる子
・待てない子
など、集団になった時にはじめて発見する子供の特性があります。
ただ、一番言いたいのは、子供たちはみんな一生懸命で、
認めてもらいたくて、褒めてもらいたくて、
失敗した時にママが悲しそうな顔をするのがつらいから、必死だということです。
小学校受験のために塾に通わせる目的は、
「我が子が集団生活で、どうなるのか。特徴は?」を親が知ることです。
知らなければ、家庭での対策の立てようがありませんよね。
最近の小学校受験において、「行動観察」を重要視する学校が増えてきています。
1つの部屋に複数の子供たちを遊ばせて、その様子を見るというものです。
悪目立ちすると、試験管から「クラスを乱す恐れあり」と評価されてしまいます。
沢山の塾がありますが、有名塾である必要はありません。
我が子にかかわる先生が「あなたの子供は、みんなの中で○○という状態ですよ」と
親に教えてくれることが大切です。
親に遠慮して褒めてばかりの先生よりも、子供の状態を親に伝え、
共有して寄り添う先生でなければ塾の費用は無駄ということになってしまいます。
塾えらび、というより先生を選んだほうがお金を出す価値があるのではないでしょうか。
まとめ
我が子の幸せな未来のために、スポーツをさせる、
楽器をさせる、勉強をさせる…沢山の選択肢がある中で、
受験というものがあると思います。
それぞれ形は違えど、親が子供の歩幅を知り、歩く速さを知り、
一緒に歩く心地良いスピードを探す旅です。
受験はどうしても最終的に「合否」というものがあるので、
親子とも目標に向けて燃え尽きがちです。
「合」でも「否」でも親子で同じ目標をめざし、
頑張った時に得られた絆は永遠です。
必ず10年後、20年後に「よかったよね」と話す時が来ます。
私も子を持つ母親です。思い通りにならないことだらけです。
でも忙しい時ほど焦らず、面倒な時ほど丁寧に、
でも少し策略的に…と、奮闘中です。
受験を考えているお子様とご両親様の毎日が、
かけがえのないものになるように願っています。